
【令和6年度〈事例Ⅳ〉】
業務的意思決定を5ステップで完全攻略!
こんにちは、診断士ブロガーの本駒です。
2024年(令和6年)中小企業診断士 二次試験・事例IVでは「業務的意思決定(資源制約下の生産計画)」が出題され、満点狙いの最重要論点となりました。
本記事では、実際のデータを使いながら試験で使える“解き方5ステップ”を丁寧に解説します。最初に問題概要を把握し、その後で手順ごとに解説する構成なので、初学者~経験者まで役立つはずです!
1.問題概要(X社・Y社の菓子製造)
与えられた前提は以下の通りです。X社はベース商品、Y社は追加加工品。
目的は 限界利益の最大化 です。
項目 | X社 | Y社(追加加工) |
---|---|---|
販売価格 | 3,000円 | 4,800円 |
変動費 | 1,780円 | 3,380円(1,780+追加1,600) |
限界利益 | 1,220円 | 1,420円 |
直接作業時間 | 1.0h | 2.5h |
機械運転時間 | 2.0h | 2.5h |
最大注文数 | 6,500袋 | 4,200袋 |
資源制約は次の2つ:
- 直接作業時間:10,000h
- 機械運転時間:13,600h
2.【保存版】解き方5ステップ
STEP1:データを表にまとめる
上表のように“数字を一か所に集める”ことが高速解答のコツ。
試験当日は計算用紙に「販売価格」「変動費」「限界利益」「要する資源量」を縦一列でメモしましょう。
STEP2:制約条件を確認
本問では時間がボトルネック。与えられた上限(10,000h/13,600h)を必ず赤字で囲み、後で参照しやすくします。
STEP3:資源あたり限界利益を計算
資源効率を比べる計算式は以下のとおり:
作業時間1hあたり = 限界利益 ÷ 作業時間 X社:1,220 ÷ 1.0 = 1,220円 Y社:1,420 ÷ 2.5 = 568円 機械時間1hあたり = 限界利益 ÷ 機械時間 X社:1,220 ÷ 2.0 = 610円 Y社:1,420 ÷ 2.5 = 568円
どちらの指標でもX社が優位と判明!
試験では“効率の高い商品から資源を割り当てる”のが鉄則です。
STEP4:効率の高いX社を優先生産
X社を注文上限の6,500袋まで生産した場合:
- 作業時間使用:6,500袋 × 1.0h = 6,500h
- 機械時間使用:6,500袋 × 2.0h = 13,000h
残り資源は—
- 作業時間:10,000 − 6,500 = 3,500h
- 機械時間:13,600 − 13,000 = 600h
STEP5:残り資源でY社を計算
Y社1袋あたり2.5hずつ使うため、
- 作業時間制約:3,500 ÷ 2.5 = 1,400袋
- 機械時間制約:600 ÷ 2.5 = 240袋
機械時間がより厳しい制約 ⇒ 生産可能数は240袋
3.最終生産計画と営業利益
- X社:6,500袋
- Y社:240袋
限界利益
- X社:6,500 × 1,220 = 7,930,000円
- Y社:240 × 1,420 = 340,800円
- 合計:8,270,800円
固定費が5,600,000円とすると…
営業利益 = 2,670,800円
4.設問2:Y社を最低2,400袋生産する場合
追加条件で「Y社 2,400袋必須」が提示されたら?
まず機械時間を先取して考えます。
- Y社機械時間:2,400袋 × 2.5h = 6,000h
- 残り機械時間:13,600h − 6,000h = 7,600h
- X社に割ける機械時間:7,600h
- X社生産可能数:7,600h ÷ 2.0h = 3,800袋
営業利益を再計算すると…
- X社限界利益:3,800 × 1,220 = 4,636,000円
- Y社限界利益:2,400 × 1,420 = 3,408,000円
- 合計限界利益:8,044,000円
- 営業利益(固定費同額):2,444,000円
先の2,670,800円と比べると約23万円減少。
よって、社長から「利益を維持したい」と求められた場合には、
「Y社の販売価格を4,800円→5,000円へ引き上げる」などが代替案
となります(一次試験のCVP&価格決定論点がリンク)。
5.解答の“骨子”を答案用紙にどう書くか?
二次試験では「数値+理由+助言」の三段構成が定番。例:
【設問1】X 6,500袋・Y 240袋が限界利益最大(8,270千円)。 機械時間が最終制約、追加生産不可。 【設問2】Y 2,400袋を前提とすると営業利益は2,444千円と▲227千円。 適正利潤を維持するため、Yの販売単価を5千円へ値上げする。
このフォーマットで60字×2~3行に収まれば採点者に好印象です。
6.短期合格のための学習ポイント
- 5ステップを声に出して説明できるまで反復
- 制約条件→資源効率→ボトルネック の流れを図で覚える
- 過去5年分の「業務的意思決定」問題を70分以内で解き切る
- 間違えたら「どのSTEPで詰まったか」をノートに可視化
7.まとめ|令和6年度の教訓
今年の事例IVは例年より計算量が多い一方、“手順さえ固定化”していれば
思考停止で埋められる問題でした。覚えるべきは
- 資源あたり限界利益で優先順位を決定
- 優先商品を注文上限まで投入
- 残り資源で他商品を計算