「CVP分析って何回やっても解けない…」
「公式がいっぱいあって覚えられない…」
「そもそも数学が苦手だからムリ…」
そんなふうに感じている中小企業診断士受験生、多いのではないでしょうか?
でも実は、CVP問題は**“最低限のことだけ理解すれば、得点源にできる”**分野です。
本記事では、CVP分析が苦手な人でも「あ、なんか解けそうかも」と思えるように、
原点となる考え方と、最低限の公式だけに絞ってご紹介します。
■ 事例Ⅳ・CVP分析の原点:「売上 − 変動費 − 固定費 = 利益」
CVP分析の基本は、実はこの一行だけです。
売上 − 変動費 − 固定費 = 利益
この式を“原点公式”として、すべての問題が組み立てられます。
■ 前提:それぞれの用語は理解しよう
用語 | 意味 | 例 |
---|---|---|
売上 | 商品を売って得たお金 | 価格1,000円 × 100個 = 100,000円 |
変動費 | 売れる量に比例して増える費用 | 材料費・外注費・包装費など(例:500円 × 100個) |
固定費 | 売れても売れなくてもかかる費用 | 家賃、人件費、設備費など |
利益 | 売上からすべての費用を引いた「残り」 | 純粋なもうけ(営業利益) |
この「売上 − 変動費 − 固定費=利益」の式を、計算の土台として何度も使うことになります。
■ 事例ⅣのCVP分析で本当に覚えるべき公式は少ない
① 損益分岐点売上高
損益分岐点売上高ー変動費ー固定費=0
「売上 − 費用 = 0」となるポイントなので、これを損益分岐点売上高について解くだけ。
② 目標利益を出すための売上高
売上高ー変動費ー固定費=目標利益
「営業利益を◯万円出したい」ときに必要な売上高を出すときに使います。
これも、変動費、固定費、目標利益の金額を設問から抽出し、売上高について式を解くだけ。
■ 暗記ではなく“あてはめるだけ”でいい
実はこの2つの公式は、原点公式にそのままあてはめれば導き出せるものです。
- 設問分を整理して、「売上ー変動費ー固定費=利益」の式に値を当てはめる。
- 数字を代入してシンプルな一次方程式にして解く
これだけです。つまり「覚えよう」とするのではなく、「使えるようにする」ことが大事なんです。
CVP分析を解いてみよう|式を1本つくるだけで解ける
CVP分析が苦手な人にこそ試してほしいのが、
「覚えるんじゃなくて、式を1本つくって解く」というスタイルです。
今回は、公式や図は一切使わず、売上と費用の関係を式にして、一次方程式で解く方法を一緒にやってみましょう。
■ 問題設定
あなたはある商品の販売をしています。
条件は以下の通りです:
- 商品の売上高は、まだわからない → 求めるもの=X(百万円)
- 変動費は売上の60%
- 固定費は36百万円
- 営業利益として20百万円を出したい
■ 式をつくろう(ポイントはこれだけ!)
まず、CVP分析の基本の考え方を思い出しましょう:
売上 − 変動費 − 固定費 = 利益
これに数字をあてはめていきます。
● 売上:X
→ 今回求めたいものなので「X」とします。
● 変動費:X × 0.6
→ 売上の60%が変動費。
● 固定費:36(百万円)
● 利益(営業利益):20(百万円)
これをそのまま式にすると、こうなります:
X −(X × 0.6)− 36 = 20
シンプルですね。
■ 解いてみよう(中学レベルの方程式)
X − 0.6X − 36 = 20
→ 0.4X − 36 = 20
→ 0.4X = 56
→ X = 56 ÷ 0.4
→ X = 140
■ 答え:140百万円の売上が必要!
つまり、利益20百万円を出すには、売上140百万円が必要ということになります。
■ 覚えることは一切ナシ。考えるだけで解ける!
今回の解き方で使ったのは、
- 文章から情報を整理する力
- 式を立てる力(売上 − 費用 = 利益)
- 小学校〜中学レベルの計算力
だけです。
難しそうなCVP問題も、「式を立てるだけ」と考えれば、怖くありません。
“とにかくこの形”にしてみよう|CVPは1本の式で攻略
- 最初に「売上−変動費−固定費=利益」の原点を学び、
- 次に「実際の数値を当てはめて式を1本立てる」ことで、利益目標に必要な売上高を求めてきました。
今回はいよいよ、「この形を使えば解ける!」という実戦スタイルの完成形です。
■ ポイントはこの形だけ!
CVPの応用問題でも、まずはこの式を立てればOK:
X −(X × 変動費率)− 固定費 = 利益
たとえば、
売上高:X(求めたい)
変動費率:0.6
固定費:36百万円
目標利益:20百万円この場合の式は:
X −(X × 0.6)− 36 = 20
→0.4X = 56
→X = 140
■ この形のすごいところ
- どんなCVP問題でもまずこの形に持ち込める
- 覚えるべき“公式”はゼロ。売上−費用=利益だけ
- 数学が苦手でも、「1本の式を解くだけ」なので迷わない
■ 間違いやすいところもこの形なら防げる!
よくある間違い | この形で防げる理由 |
---|---|
「変動費の扱いが曖昧」 | 変動費は X × 〇〇 と式に明確に書くからミスしない |
「どこまでが費用かわからない」 | 売上 − 変動費 − 固定費 でスッキリ整理される |
「利益が営業利益か経常利益かわからない」 | 問題に書かれている“利益”を右辺にそのまま置けばOK |
■ まとめ:CVP問題は「この形」で戦える!
「公式を覚える」よりも、
「式をつくって、1本で解く」
このアプローチのほうが、診断士試験では実は強いです。
解法暗記じゃない。
本質に立ち返れば、CVPは“いつでも解ける武器”になります。
