令和3年・中小企業診断士試験事例4第3問とは
これは忘れもしない。私が試験当日ほとんど解けなかったCVP問題です
しかし、試験当日は手が出なかったものの、合格してから見返してみると驚くほど簡単な問題です。皆さんにはこの手の問題は、得点源にしてもらいたい。
どんな問題だったのか?
以下実際の問題。基本的なCVP問題でした。しかし、解けなかった。
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【問題】
D 社は現在、新規事業として検討している魚種X の養殖事業について短期の利益計画を策定している。
当該事業では、自治体からの補助金が活用されるため、事業を実施することによるD 社の費用は、水槽等の設備や水道光熱費、人件費のほか、稚魚の購入および餌代、薬剤などに限定される。D 社は当面スタートアップ期間として最大年間養殖量が50,000 kg である水槽を設置することを計画しており、当該水槽で魚種X を50,000 kg 生産した場合の総経費は3,000 万円である。また、この総経費に占める変動費の割合は60 %、固定費の割合は40 %と見積もられている。D 社がわが国における魚種X の販売実績を調査したところ、1 kg 当たり平均1,200 円で販売されていることが分かった。
【設問1】
D 社は、当該事業をスタートするに当たり、年間1,500 万円の利益を達成したいと考えている。この目標利益を達成するための年間販売数量を求めよ(単位:kg)。なお、魚種X の1 kg 当たり販売単価は1,200 円とし、小数点以下を切り上げて解答すること。
【設問2】
D 社は最適な養殖量を検討するため、D 社の顧客層に対して魚種X の購買行動
に関するマーケティングリサーチを行った。その結果、魚種X の味については好
評を得たものの魚種X がわが国においてあまりなじみのないことから、それが必
ずしも購買行動につながらないことが分かった。そこでD 社は魚種X の販売に当
たり、D 社の商圏においては販売数量に応じた適切な価格設定が重要であると判
断し、下表のように目標販売数量に応じた魚種X の1 kg 当たり販売単価を設定す
ることにした。
この販売計画のもとで、年間1,500 万円の利益を達成するための年間販売数量を
計算し、⒜欄に答えよ(単位:kg)。また、⒝欄には計算過程を示すこと。なお、
最終的な解答では小数点以下を切り上げすること。
〇目標販売数量販売単価
・0 kg~20,000 kg 以下販売数量すべてを1 kg 当たり1,400 円で販売
・20,000 kg 超~30,000 kg 以下販売数量すべてを1 kg 当たり1,240 円で販売
・30,000 kg 超~40,000 kg 以下販売数量すべてを1 kg 当たり1,060 円で販売
・40,000 kg 超~50,000 kg 以下販売数量すべてを1 kg 当たり860 円で販売
注) たとえば目標販売数量が25,000 kg である場合、25,000 kg すべてが1 kg 当
たり1,240 円で販売される。
今だったらこう解く
設問1
CVPは売上、変動費、固定費、利益の要素が把握できれば、後は公式にあてはめるだけで解けてしまう。
【手順①:要素の抽出】
- 売上:設問分より販売単価1,200円(1 kg 当たり平均1,200 円で販売されている)
- 変動費:・変動費:3,000万円×60%=1,800万円
・1㎏あたりの変動費は
⇒1,800万円÷50,000kg = 360円/kg
- 固定費:固定費:3,000万円×40%=1,200万円
- 利益:目標利益1500万円
【手順②:式にあてはめて解く】
CVPの絶対公式は
売上ー変動費ー固定費=利益
というこれだけ。ここに手順①で抽出した要素を当て込むだけ。ただ、今回は販売数量が問われているので、その値をXと置くと下記の式となる。
1,200Xー360Xー12,000,000=15,000,000
これをXについて解けばX=3571.428…
よって少なくとも3,572個生産すれば、目標利益を達成することができる。
ことがわかる。
設問2
生産量に応じて、販売の単価がかわることがわかります。
スマートな方法があるのかもしれませんが、設問1で用いた式の内、売上を求めるのに利用する単価だけを変えた式を解けば、解答が導けます。
そして、求めた式が前提となる販売数量の範囲に納まるかを確認すれば、答えを求めることができます。
具体的には
- 1400Xー360Xー12,000,000=15,000,000
- 1240Xー360Xー12,000,000=15,000,000
- 1060Xー360Xー12,000,000=15,000,000
- 860Xー360Xー12,000,000=15,000,000
を解き、前提に合致するものを選びます。
特に難しい式ではないので、全部解いた結果、3の式が34090.9㎏と前提となる販売数量の範囲に納まりますね。
答えは 3であり、4つの式を計算した過程を解答用紙に示してあげればよいかと思います。
まとめ
この問題を見るたびに、悔しい想いがよみがえってきますね。
だって、売上ー変動費ー固定費=利益という式と、1次方程式が理解できれば、解けてしまう問題なのに、本番解けなったわけですから。
結論;CVPは落ち着いて考えれば解ける
という事だと思います。
